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引き留めはNG。退職希望者への対応どうするのが正解?

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年度明けの4月入社を希望する転職者が増える季節になりました。この時期、退職希望者と人事面談を行う人事の方も多いのはないでしょうか?優秀な社員であれば引き留めたい一方で、次のキャリアを応援したいという気持ちもあり、複雑な心境ですよね。今回は、社員から退職の希望を出されたときに会社としての対応法についてご紹介したいと思います。

実は「突然」ではない、退職までの経緯

「突然ですが、退職を希望しているのですが…」と兆候が全く見られなかった社員から退職願を差し出されたことはないでしょうか?受け手からすると、突然のように見えますが、社員が退職を検討し始めるのは今に限ったことではありません。家庭環境の変化等による転職を除くと、数ヶ月・数年から退職を検討していたという社員も少なくないのです。

退職を切り出されたらどう対処する?

人事側、上司の立場からすると、「なぜこのタイミングで?」「何がきっかけなのか?」様々な疑問が浮かんでくるでしょう。しかし、ここで社員に畳みかけるように質問攻めするのは得策ではありません。では、具体的にどのような対応を取るのがいいのでしょうか?

①退職までの経緯、本音を引き出そう

まず、退職までの経緯や現在の状況など、事実の確認をします。退職者側としては、「お世話になった人に退職を伝える心苦しさ」を抱えているケースもあります。退職に至るまでも、「本当に退職してしまっていいのか?」と自問自答を繰り返してきたかもしれません。まずは「話をしてくれてありがとう」と感謝の意を伝えることが重要です。それにより、本音を開示しやすい雰囲気を作ることができます。
また、下記のような問いかけをすることで経緯が明らかになります。

・いつ頃から退職(転職)を考えていたのか
・始めはどんなことがきっかけだったのか
・次の転職先や入社日は決まっているのか
・退職(転職)の覚悟はどのくらいか

経緯を聞くことができたら、一旦は了承した旨を伝えましょう。相手にも安心感が伝わるはずです。

②会社として社員の希望を実現できる可能性を考える

では、改めて状況理解ができたら、「退職しなくても会社として希望を実現できる可能性があるのか?」など、社員のためにできることを考えてみます。退職や転職はある意味、ストレスフルな人生の転機です。その社員にとって、良い選択になることもあれば、やっぱり辞めなければ良かったと思うこともあるでしょう。社員が将来的に実現したいことが、自社で叶えられる可能性があるのならば、その選択を提示してみるのもひとつの手段です。

退職を切り出された時にこれはNG、避けたい対応

退職願を出された時に避けるべき対応もあります。

会社都合での引き留めを行う

よくあるのが「人手不足だから今辞められては職場が回らない」と会社都合での引き留めてしまうケース。退職希望者に、「結局は、話を聞いてくれないのか」と、ますます離心されかねません。退職希望者が本当に今辞められては困る存在なのであれば、まず相手の状況を傾聴し、お互いが気持ちよい選択をできるように話し合い機会を設けることが大切です。また、労働者には「退職する自由」が認められています。無理な引き留めは度合いによっては、違法になることもありますし、「在職強要する職場」として悪い口コミが流出し企業価値が下がるリスクもあります。

何度も退職交渉の場を設ける

仮に引き留めたい社員であっても、何度も退職交渉の場を設け交渉期間を延長することもおすすめはできません。例えば、社員が次の転職先への入社を決めている場合、次の転職先と労働契約が発生することになります。退職交渉期間が長引くと転職先の受け入れにも影響が出てしまいます。社員の退職の意思が固い場合は、何度も交渉を繰り返すことは生産的ではありません。

安易に待遇条件UPの提示をする

これまでの社員の実績を元に確実に昇給を提案できる場合は、待遇条件UPの提示によって大事な人材を引き留めることもできることも可能です。
ただ、昇給や人事配置が確実でない場合に安易に提示をすると、実際そうできなかった場合に社員の期待を裏切ることになります。確実な情報がない限りは、安易に条件UPの提示を行うのは避けた方がよいでしょう

最後に

退職交渉は、退職する側・される側双方にとってストレスがかかる大きなことです。退職希望者はその旨を伝える前に悩み考えて出した結論なので、一度決心するとそう簡単に心が動くことはありません。そのため、無理に引き留めたり、退職交渉期間を引き延ばすことは、退職される側にとっても時間のロスになり、メリットは少ないのです。退職理由を丁寧に聞いていくことで、組織内の課題感などが浮かび上がることもあります。今後の組織を活性化するためにも、退職交渉の場においては、相手の真意を大切にし、本音を引き出すコミュニケーションを心がけてみてはいかがでしょうか?

Mayo

新卒で介護系事業会社で広告の営業活動を経験した後、大手人材紹介会社に転職。キャリアアドバイザーとして20代~30代を対象とした転職支援に従事。副業でWEBラ...

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