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テレワークでの評価、どうする? する側、される側、それぞれの課題

現場の悩み

コロナ禍によって導入が進んだテレワーク。
在宅勤務やリモートワークなど、働き方は柔軟に変化しているものの、「人事評価」となると即座に変えることができないのが現状。

そこに疑問を持つ人事の方も、そして評価される社員にもそれぞれの悩みがあるのではないでしょうか?
テレワークにより浮きぼりになった、評価する側・される側双方の悩みと、今後検討できる「新たな人事評価制度」について紹介します。

これまでの人事評価制度は「出社前提」?

テレワークの普及と同時に新たな課題として浮上した「人事評価制度」の見直し。
出社時には見えていた社員の勤務態度が見えなくなったことや対面のコミュニケーションが減少したことがその要因となっています。

評価する側もされる側も悩んでいる

賞与や昇給にも直結する人事評価。「社員の頑張りを出来る限り還元してあげたい!」と考えるものの評価基準が曖昧では評価のしようがない、と悩む管理職も多いはず。
一方で、新たな評価基準に適応できずに悩む現場社員も増えており、評価する側とされる側の双方でそれぞれの課題が生まれています。

評価する側の悩み

社員の勤務態度が見えず、プロセス評価が難しい

評価する側の第一の悩みは、「社員の勤務態度が見えず、プロセス評価が難しくなった」ことです。
テレワークにより非対面コミュニケーションが増えたことで、出社時には見えていた「顧客への応対」「業務と休み時間のメリハリ」「他部署とのコミュニケーション頻度」などを元にした、定性的な評価がしにくくなりました

中には、部下に対し「サボっていないだろうか?」と、どうしても懐疑的な姿勢をぬぐえないという管理職の声も。
チームのメンバーに対して信頼を持てない状態は、決して健全とは言い難いでしょう。また、社員の勤務態度が見えないからこそ、成果につながるプロセスを評価しにくい、という声も上がっています。

評価方法にばらつきが生じてしまう

組織内で、明確な評価基準を定めていないと、評価にばらつきがでてしまい属人的な判断になってしまうことも課題の一つです。
「業務の成果だけで判断したい」という考えの管理職がいる一方で、「プロセスも評価項目にいれたい」と考える管理職もいるため、評価方法にばらつきが生じ、組織内の不和に発展する可能性も考えられます。

評価される側の悩み

正しく人事評価されているのか不安を感じる

一方で、評価される側も不安を抱えています。これまでは業務プロセスや進捗を報告しやすかったものの、テレワークによりコミュニケーション量が減少。
売上数字や定量的な成果だけで判断されることに納得感を感じられないという社員も。
また営業職のように短期間で定量的な成果が見えにくい職種の社員は、プロセス評価がされないことに不公平感を感じることも多々あるようです。

サボっていると思われないか不安を感じる

評価される側もする側と同様、「サボっているのでは?」と思われることに不安やストレスを感じるという声も上がっています。
株式会社ヌーラボの調査によると、20代の2人に1人が「テレワーク時、サボっていると思われるストレス」を実感しているとのこと。

(出典)
20代の2人に1人が「テレワーク時、サボっていると思われるストレス」を実感 – 調査結果:テレワークとサボりの関係性|(株)ヌーラボのプレスリリース (prtimes.jp)

みなさんこんな経験はありませんか?
仕事でなかなか定量的な成果を出せない時に、「頑張っているのにやっていないと思われるのでは?」と不安に感じたり、社内チャットの返信が空きすぎてしまい、「相手に心配されるのでは?」という恐怖感を感じたり。
勤務態度を見られないことで、かえって心理的な負担がかかることもあるようです。

今後、必要な人事評価基準とは?

この評価する側の悩みと評価される側の悩みを解決するためにも、各企業さまざまな取り組みを導入しています。

目標管理制度の導入

目標管理制度とは、個人やグループで仕事上の目標を設定、その達成度合いに応じて評価するマネジメント手法のこと。
目標を設定するに当たり、下記のようなポイントが重視されています。

  1. 具体的な目標を立てる
  2. 高すぎず低すぎない適正な目標を立てること
  3. 組織の目標と自分の目標を関連づけること
  4. 成果だけでなくプロセスも評価すること
  5. 「いつまでに何をするか」目標に至るまでの行動も明記し自主性を促すこと

社員が組織のビジョンに合わせて主体的に目標を設定することで評価にも納得感が得られますし、モチベーションアップにも繋がります。

評価項目を明確化する

テレワークの業務スタイルも加味して、新たに評価項目を設定し直すことも求められるでしょう。
例えば、締切のある依頼に対してのレスポンスのスピード感や、業務のスピード感を定量的に測定して、評価することも手段のひとつです。

プロセスを発表する機会を作る

目に見える定量的な成果が出ていなくても、業務上で工夫改善が見られた取り組みをピックアップ、定期的に全社員の前で発表する機会を設けることも評価実感につながるひとつの手段です。
テレワークになり、定量的な成果だけで判断する「成果主義」に傾倒すると、社員のモチベーションやストレス状態にも影響が出てきます。
また業務の取り組みを発表する機会によって、他の社員へのノウハウ共有としても組織に良い影響を与えることは間違いありません。

顔を合わせたコミュニケーション量を増やす

テレワークになったからと言って、顔を合わせたコミュニケーションが不可能になった訳ではありません。
週に1回など頻度を決め、Web会議ツール等を使った「face to face」でのコミュニケーションの機会を意図的に作ることも有効です。
テキストや数値だけでは判断できない業務の進捗状況やプロセスについて確認することができます。

最後に

テレワークによって物理的な制約ができ、以前よりも「成果」に焦点が当たるようになりました。
成果主義が進むことは、組織全体の生産力を上げる上で良い流れかもしれませんが、成果主義に傾倒しすぎることで、正当に評価されていないのでは?と組織への「不満」を募らせる社員も出てくるでしょう。
人事評価制度に「正解」はないので、自社の風土や価値観に合った制度づくりをしていくことが求められそうですね。

Mayo

新卒で介護系事業会社で広告の営業活動を経験した後、大手人材紹介会社に転職。キャリアアドバイザーとして20代~30代を対象とした転職支援に従事。副業でWEBラ...

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