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「人事の仕事が好き!」フランフランの人事が語る、”働きやすい職場づくり”への想い

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人事の”今”をリアルに取材する『人事のジンジ』インタビューコーナー。今回はインテリアや雑貨で人気のFrancfranc(フランフラン)の人事朝倉枝里子さんに取材しました。店舗という現場から本社勤務、人事の仕事と、多様な経験をお持ちの中でも、「人事の仕事が好き!」と語るそのわけと今の取り組みについて、お話しいただきました。

 

【Profile】朝倉枝里子
2013年新卒採用にて入社し、2年間で旗艦店から小型店まで4店舗を経験。その後本社MD部にて商品の品揃え設計を担当。2016年より、奈良県の新店舗立上に従事し、店長に任命される。2018年より新卒研修担当として人事総務部へ異動。現在は新卒採用や人事制度運用などを担当し、人事4年目となる。

店長時代に感じた”現場の課題感”が、今の人事の仕組みづくりに活かされている

ーーフランフランは女性から大人気のブランドですが、朝倉さんは人事として普段どのようなお仕事をされていますか?

「今は、人事総務部の人材開発課という部署に所属しております。仕事内容は、新卒の採用や研修というところの入り口の部分から、人事制度の企画や運用、さらにシステムの設計まで幅広く担当させていただいております。新卒で入社をして、最初は店舗に配属され、接客販売を経験しました。その後、店長を経験し、人事に異動となり3年半になります。」

ーー現場もご経験されて、今の人事というポジションに至るのですね。人事の仕事のやりがいはどのようなところだとお感じですか?

「人事は、制度の設計や仕組みに関われる部署なので、課題となっていることの根本を変えることもできます。そういった意味でも、従業員の満足度にすごく影響を与えるので、責任はありますが会社に携わっていることが肌で感じられて、それがやりがいでもあります」

ーー従業員の満足を考えながら、制度設計や仕組みづくりに取り組まれているのですね。現場を経験されたからこそ、従業員に寄り添えるのかなとも思いましたが、そのあたりはいかがでしょうか?

「そうですね、店長を経験させていただいたことは、私の中でひとつ転機になっていると思います。20名弱の店舗ではあったのですが、その長として判断をするという難しさだったり、育成をしていくということの大変さだったりを学ばせていただきました。私が店長時代に感じていた従業員の育成課題や制度への不満などは、”1店長がお店で感じていること=130店舗の店長が同じように感じていること”。その時リアルに課題を感じることができたので、人事の今も、制度や仕組み作りに活かせていると感じています」

ーー店長をご経験され、その難しさを知ったからこそ今の人事としての朝倉さんがいらっしゃるのですね。

「そうですね、私も店長がお店や従業員を守らないとと、強く思いこんでいたところがあり、責任は店長が全部背負うものだとも思っていました。何か困った時に従業員からあがるエスカレーションを受け止めなければいけない、自分がお客様対応の最終の砦なのだ、という意識で働いていました。
また、店長は従業員の評価をする役割も担うので、私の評価のやり方やフィードバックの仕方が給与や仕事のモチベーションに繋がってくると思うと、そのやり方にも気をつかいました。どのように伝えたら本人の成長に繋がるのか、褒めるだけではダメだなと感じることも多く、日々、人を評価し伝え、同じ方向を見て仕事をしてもらう、その難しさは実際やらないとわからなかったと思います」

一人ひとりそれぞれのライフプランがあり、人事はその受け皿をつくることが大事

ーーここまでのお話から、「私が従業員を守る」や「お客様対応の最後の砦」など、朝倉さんの責任感の強さを感じました。かっこいいです!人事としての朝倉さんのマイルールのようなものはありますか?

”人によって対応を変えない”ということが私の中のルールかなと思います。伝えるときの伝え方はその人の立場や理解度に寄り添ってきちんとお話をする。
また、会社の経営の方針だったりやるべきことを、メンバーに具体的にどう噛み砕いて落とし込んでいくかが人事として重要だと思っています。メンバーが人事に何か相談をした時に「共感してくれる、わかってくれる、動いてくれる」と思ってもらえるような信頼される人事になれるように、メンバーとの細かいコミュニケーションは大切にしています。」

ーー従業員のことを大事に思っているのが伝わってきますね。働きやすい職場づくりのために朝倉さんが取り組んでいることは何かありますか?

「いろいろありますが、一つは住宅手当制度の導入ですね。以前から社宅制度はあったのですが、部屋の広さや家賃の上限などの制約がありました。その制限を撤廃してより従業員が自分の好きな住居を選べるようにしました。私たちは人々の生活を豊かにするための会社にいるのに、自分たちの住まいが豊かじゃなくてどうする?という思いがありましたね。」

ーーたしかにそうですよね。他に従業員満足のために取り組んでいることはありますか?

「女性が多い職場なので、産休育休に入ったママさん向けに復職者セミナーというものを実施しています。皆さん1年半ほど休職されると、今何が起こっていて、会社がどういう方針なのかがわからなくて不安に思われると思うんですよね。そういう方に対して、復職される前に「いま、販売本部はこういう施策で動いています」や「戻ったらこういう働き方をしてほしいと思っているんです」と人事や所属長とお話しする会を設けたりしています。そこで少しでも不安が解消できればいいなと思います。」

ーーライフイベント前の女性にとっても、こういうきちんとフォローしてくれる環境というのはきっと心強いでしょうし、会社への満足度にも繋がりそうですね。

「そうですね、従業員それぞれのライフプランがありますので、キャリアの積み方も1通りではなく、選べるようにしているのもポイントだと思います。正社員の店舗スタッフ向けの制度にはなりますが「転勤ができる方のコース」と「地域に密着して働きたい方のコース」というのを分けていて本人が選べるようにしています。
いろんな方がいらっしゃって、その分いろんなライフスタイルがあるので、なるべく広く対応できるようにこちらは受け皿として用意しておくことが人事としてできることなのかなと感じています。」

逆風を追い風に、コロナをきっかけに導入した新しい働き方とコミュニケーションツール

ーーライフスタイルに合わせた働き方の一つに、「リモートワーク」がよくあげられると思うのですが、御社ではそのあたりいかがですか?

「そうですね、コロナの流行をきっかけにリモートを主流にして、さらにフレックスタイムを導入して、自分のライフスタイルやその時々の状況に合わせた働き方ができるように仕組み化しました。
その他にも、”従業員サーベイ”を導入して、上司からの情報共有がきちんとされているか部下に評価してもらい、見えない部分で従業員がどう感じているのか人事が吸い上げられるようにしました。」

ーー部下が上司を評価できるような仕組みを取り入れたということですね。ちなみに、リモートは今回のコロナ禍だけ、一時的なものなのでしょうか?

「いいえ、今後も本社においてはリモートメインでやっていく予定です。
今までですと、例えば店長会も全店長が全国から集まって開催をするのが基本的な形でした。それが今は、ウェブ会議システムを使うことで簡単に資料を共有できますし、話す頻度も増えて、実際に会うよりも密なコミュニケーションが取れるようになりました。」

ーーなるほど、逆にリモートのほうがコミュニケーションが取りやすいと感じる部分もあったのですね。

「そうですね、ただ今回、新入社員に対してのコミュニケーションは気をつかいました。
というのも、新入社員が入社して、たった2日で店舗がコロナの影響で休業になってしまったんです。地方から出てきている方もいたので、すごく不安だろうなと思って…。入社前から関わりがあったのが人事の私だったので、個別に連絡をとったりこの本読んでみるといいよなど、課題を出したりしてなるべくコミュニケーションを取るようにしていました。」

ーー新入社員にとってはこのコロナ禍という状況、なおさら不安だったでしょうね。フランフランは店舗が多いと思いますが、店舗スタッフに対してはどのように対応されたのですか?

「店舗に関しては、休業の期間を利用して商品の知識を深めてもらったりと、勉強の期間という感じにしてもらいました。」

ーーそれはいいですね!本社勤務の方はどういう感じだったんですか?

「本社に関しては、今までよりもよりフランクにコミュニケーションがとれるように新しいコミュニケーションツールを導入しました。今まではメールと内線という形だったのですが、チャットができるようになり、さらに従業員のアイコンが表示されるので、顔が見えるぶんメンバーをより身近に感じられるようになったと思います。」

人が好き会社が好き、だからこそかゆいところに手が届く存在でありたい

ーー会社をより良くするために妥協せずどんどん新しい制度やツールを導入する!というチャレンジ精神が素敵です。人事として朝倉さんが今後チャレンジしたいことはどのようなことですか?

「具体的に今後やっていきたいことは、RPAの推進に力を入れていきたいと思っています。社内コンサル兼SEみたいになりたいなと。
RPAにより今まで社員がやっていた単純作業などを機械に置き換えてやってもらう。そのぶんの空いた時間を、新しい企画やクリエイティブの部分に使えるように、私がそのRPAを推進していきたいなと考えています。
何か本社や店舗で従業員が感じる困りごとや、ここめんどくさいなっていうところを吸い上げて、自分でそれをシステム化していけるような…かゆいところに手が届く存在になりたいです。」

ーーみんなが感じてるちょっとモヤットしたものを、人事が聞き取って改善するというイメージですね。普段からそのようなスタンスなんですか?

「そうですね、なにか困っていることありませんか?という雑談の中から、「毎週とか毎日同じデータを抽出して分析している…」みたいな声があれば、抽出まではロボットがやってもいいじゃないかと私は思うんですよね。そういった、毎週やってるけどこれ手間だなっていうことってあります?というのをヒアリングしながら、これ機械に置き換えられそうだなというのは常に考えています。」

ーー会社がどうなったらより良くなるのか、どうしたらもっと従業員が働きやすくなるのかを常に考えていらっしゃるのですね。採用の面でも会社のことを考えられる人材というの重視されているのですか?

「一緒に創り上げていく、自分の行動で会社を変えるんだ!というような気合いを持っている方は凄くありがたいです。
いま在籍しているメンバーの特徴としても、「フランフランが好き」というのと同じくらい「人が好き」という人がすごく多くて。会社を良くしよう良くしようと思っている方がすごく多い。ベンチャー気質なところがまだまだある会社なので、新しいことをやりましょうとなった時に、みんながそこに向かっていけるのは強みだと感じています。」

ーー目標に向けてみんなが同じ方向を見れることが会社としての強みなのですね。協力体制ができているというか、雰囲気のいい職場ですよね。

「私自身も、人事部の中で「これやってみたら良いんじゃない?」というのを上下関係なく毎日のように言い合えていて、「こういう新しい関数できたけどこれ知ってる?」みたいな。そういうアイディアがお互い言い合える関係なので、すごく風通しがいい…私は今、本当にありがたい環境でやりやすいなと思っています。だからこそ、従業員が働きやすい環境で仕事ができるようにサポートしていきたいですね。」

ーー朝倉さんの「人事のお仕事が好き」というお気持ちが伝わってきました。

「そうですね、人事のお仕事が好きです。人事は、業務改善を含めやれることはいっぱいある領域だと思っていて。それに、自社に限らずいろんな会社の困っていることを、この会社だったらこうしたら良くなるんじゃないかと、気づけるような広い視野が持てるようになりたいなと思っています。そこを極めていきたいなと思います。」

撮影/松本有隆
インタビュアー/橋本夏子

Chihiro

人材会社にて6年間、【人材コーディネーター】として勤務。求職者と仕事のマッチングだけでなく、もっと一人一人に合ったキャリアサポートをしたいと考え、【国家資格...

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