人手不足・採用難からの脱却!?派遣導入のメリットと採用のポイント
今、働き方も変化の時代。「一人一人の個性や能力を発揮できる社会の実現」など、多様性への意識の高まりから、キャリアにおいても「働き方の多様化」や「主体的なキャリア形成」に注目が集まっています。
そこで今回は、正社員よりも柔軟な条件で勤務できる「派遣」という働き方に注目し、企業にとっての導入のメリットと採用のポイントを解説していきます。
今、派遣の導入をすすめたい理由
以前から派遣という働き方は存在しましたが、今注目されているのには、2つの理由があります。
理由①:非正規雇用をえらぶ求職者が増加
冒頭で書きましたが、近年、柔軟な働き方を求めて、あえて正社員ではなく非正規雇用を選択する人が増えています。
データによると、「2018年において非正規雇用者数は2165万人、非正規雇用者比率は38.3%となり、以前よりも増加している」という結果が出ています。(参考:リクルートワークス研究所 非正規雇用者の正規転換)
不本意に非正規雇用を選ぶ方もいますが、8割以上の方は非正規雇用を自ら選択しているとのこと。
理由②:これからは3ステージではなくマルチステージの時代
また、2016年に「ライフシフト 100年時代の人生戦略」が日本で刊行され、ベストセラーとなったのはご存じでしょうか。
そこには、今までのキャリアは「学校→会社勤め→老後」という3ステージでしたが、今後は「マルチステージ」の時代に突入する、と書かれています。
マルチステージとは、「学校→会社勤め→転職→起業→学びなおし→…」というように、ステージの移行を繰り返すことを言います。
ステージの移行を繰り返す場合、従来のようなフルタイムの勤務が難しく、非正規雇用を選ぶ人が今後さらに増えるのではないかと考えます。
このように、非正規雇用を選択する人材が一定数いて増加していること。
また、キャリアは今後マルチステージへ移行するという時代の流れを考えると、柔軟な条件で勤務できる「派遣」という働き方は、今の時代に合っているのかもしれません。
企業にとって派遣導入のメリットとは?
では、企業にとって、派遣社員を受け入れることにどのようなメリットがあるのでしょうか?
ここでは3つのメリットについてご紹介します。
1.採用コストが抑えられる
広告掲載~募集~面接~採用までを派遣会社が代行するので、企業側の求人広告の費用や採用に関わる人件費などが抑えられます。
費用は基本的に、派遣会社へ支払う派遣料金のみとなり、初期費用についてはほぼかからないため、導入において金銭的なリスクは少ないと考えられます。
2.即戦力となる人材の確保ができる
派遣のメリットは、適材適所に人材を配置できるという点です。
「即戦力となる経験者」を採用したいと考えた場合、派遣会社に希望の人材をオーダーすることもできます。
ただ、あまりにも経験やスキルを限定してしまうと、応募が少なくなってしまうので、どのような経験・スキルを持つ人を採用したいのか、譲歩できる部分はどこなのか、企業側で採用したい人物像のポイントを見極めることも重要です。
3.業務効率が上がる
ルーティーンで決まった業務や定型的な業務を派遣社員にお願いすることで、自社の社員は専門的な業務や企画など、部署の中枢の仕事に時間を使うことができます。
それは会社全体として見たときに業務効率が上がることになり、適材適所の実現ができると考えられます。
また、忙しい時期だけ限定的に採用をすることもできるので、例えば企業の決算の時期など、繁忙期のみ期間限定で派遣社員の受け入れをすることも可能です。
派遣社員採用がうまくいくためのポイント
ここまで派遣のメリットについて書いてきましたが、これを読んでくださっている人事の方の中には、「もうすでに派遣の導入をしているけれど、どうにも採用がうまくいかない…」と頭を悩ませている方もいるのではないでしょうか。
そのような悩みを持つ方に向けて、派遣の採用の際に抑えたいポイントをご紹介していきます。
求職者が派遣を選ぶ理由を把握しておく
そもそも求職者は、どのような理由から派遣という働き方を選ぶのでしょうか?
私は、派遣社員の採用にたずさわっていましたが、いらっしゃる方はぞれぞれ、派遣を選ぶご事情や背景が異なっていました。
派遣社員という働き方を選ぶ理由で、多かったものをご紹介します。
・自身でやっている活動(バンドや副業など)と両立し柔軟なシフトで働きたい
・育児や介護のため、週4勤務や時短勤務ができる派遣で働きたい
・就業後を資格勉強の時間にあてるため残業のない派遣先で働きたい
・正社員で働きづめで体調を崩したので無理なく働きたい
・いずれ正社員の事務職に就きたいが、経験が無いためまずは派遣でスキルをつけたい
あくまで数例ですが、派遣を選ぶ方は、自身の活動や育児・介護との両立を目指し、あえて派遣を選択するパターンが多かったように思います。
求職者が仕事探しで見ているポイントを確認する
次に、求職者が応募の際に見ている「譲れないポイント」をご紹介します。
ディップ総合研究所の調査によると、求職者が譲れない項目TOP5は、1位「給与(時給や月給など)」2位「仕事内容」3位「勤務地」4位「勤務曜日」5位「勤務時間」という結果になりました。
また、1位の「給与」に関しては、東京都と神奈川県で時給1,500円以上がボリュームゾーンとなっていることがわかりました。
(参考:ディップ総合研究所 派遣社員はここを見ている!仕事探しでゆずれないポイントまとめ~派遣社員4,000人アンケート調査~)
給与面や、シフト・時間の融通など、企業によって変えられるというところもポイントなんですね。
最後に
今回は、派遣の導入のメリットと、採用のポイントについて考えてきました。
これからの時代は、今よりもさらにダイバーシティ推進の流れは加速するように思います。
組織内で働く人材の「違い」や抱える事情の「違い」を尊重して受け入れ、積極的に生かすことで、個人だけでなく企業の両方の成長が見込めます。
企業として、多様な人材、働き方に目を向け、仕事に人を合わせるのでなく、人に仕事を合わせに行くという姿勢も今後重要になっていくののではないでしょうか。
「派遣」という働き方が、個人も企業もWinWinになる鍵となるかもしれません。
人材会社にて6年間、【人材コーディネーター】として勤務。求職者と仕事のマッチングだけでなく、もっと一人一人に合ったキャリアサポートをしたいと考え、【国家資格キャリアコンサルタント】を取得。育休中にオンラインキャリアサポートの副業に挑戦し、パラレルキャリアを実践中。