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採用あるある「嫁ブロック」を防ぐには

現場の悩み

採用決定後に候補者の「嫁」が入社承諾を反対、その結果、辞退連絡を受けたことはありませんか?
採用担当としては「せっかく採用が決まったのに」と肩を落とす瞬間ですよね。

頻発する候補者の「嫁」による承諾辞退を防ぐにはどうすれば良いか、考えてみました。

「嫁ブロック」とは

「嫁ブロック」とは、既婚男性が転職や独立に際し配偶者から反対され「ブロック」されることを指します。
最近では、転職市場において「嫁による転職阻止」が見られることから、転職エージェントや採用担当者の間で認知度が高まっています。

「嫁ブロック」は、転職によって年収が下がったり、休日の取得日数が少なくなることで家庭環境が変化する場合に起こります。
「嫁ブロック」の結果、候補者当本人は泣く泣く辞退、採用担当も採用計画の見直しを迫られ、双方にとってデメリットが発生することも少なくありません。

なぜ「嫁ブロック」が起こるのか?その背景とは

そもそもなぜ「嫁ブロック」が起こってしまうのでしょうか?
「嫁ブロック」が起こる背景を詳しく追ってみました。

夫の年収条件のダウン

最も多い理由は、言うまでもなく「夫の年収条件のダウン」です。
「転職で年収を上げたい」と考える求職者は大多数に上りますが、現実はそう甘くはないもの。
リクルートワークス研究所の2020年度全国就業実態パネル調査によると、転職で前年度年収から10%以上年収アップした人の割合は、全体で約31.5%

参考:全国就業実態パネル調査2020データ集【全国版】 (works-i.com)

半数以上の求職者が年収が変わらなかったか、それ以下になったことが判明しています。
多くの求職者やその家族はこうした事実を知らず、いざ年収条件を提示されて初めて現実を知ることになります。

就業時間や休日などの労働環境の変化

業務内容の変化により、就業時間帯が変わったり取得休日数が減ることも「嫁ブロック」の一因です。
特に共働き家庭や小さな子供のいる家庭にとって、労働環境の変化は後々の負担にもつながりかねません。
また、休日数は会社の規定で定まっており候補者の努力では変えられない部分でもあります。

転職先の知名度が低い

また、よくあるのが「転職先の知名度が低い」という理由。
特に大手企業から中小・ベンチャー企業に転職した候補者によくある事例です。
大手企業ならではの「安定」や「ステータス」を感じることができず不安につながることも少なくないようです。

「嫁ブロック」を防ぐために採用担当者ができることは?

候補者本人や家族の意思決定は尊重したいもののできる限り防ぎたい「嫁ブロック」。事前にどんな対策が打てるのでしょうか?

選考の早期段階で「候補者の家族事情」を確認

書類選考中や一次選考など比較的早期の段階で「候補者の家族事情」を確認しておくことが有効です。

例えば「現年収がどのくらいか」また「仮に年収が上がらなかった場合に家族からの理解は得られるか」などの事前確認を取っておくことをおすすめします。
その段階で候補者側と採用側に意見の不一致があれば、無理に選考を進めない方が、かえってお互いにとって良い判断になることもあります。

モデル年収や昇給事例を伝えることで今後の可能性を提示

「嫁ブロック」の理由で最も多い「年収ダウン」への抵抗感。これに対してはモデル年収や昇給事例を伝えることをおすすめします。
「どのような成果を出せば、どのくらい昇給するのか」を開示できる範囲で具体的に話すことが、自社への信頼度UPにも繋がります。

家族と話す機会を設けることで安心してもらう

候補者の「嫁」と直接話す機会を設けたり、場合によっては説明会を開くことも選択肢のひとつです。
最近では、新卒採用においても「嫁ブロック」同様「親ブロック」が発生することが少なくありません。

そこで「親ブロック」を防ぐために入社前に内定者の親を招き説明会を開催する企業もあります。
スピードが求められる中途採用において、ましてやコロナ禍において、説明会の開催は時間やコストがかかり現実的な手段ではないにしろ、昨今はオンラインツールで場所を問わず繋がれる時代。
オンライン面談で「嫁」と接点を持ち、自社について話す機会を作ることも信頼につながります

「第三者」に協力を依頼

第三者に協力を依頼し、候補者や家族と話してもらうことも考えてみましょう。
採用の場面に限らず「説得したいけどなかなか信頼してもらえない」ことはありませんか?
人を説得する時に自分の力が及ばないことは往々にしてあるのでは、と思います。

そんな時は、第三者の意見を活用することで聞き手に「信頼感」を与えることができるんです。
この第三者の意見を活用した説得方法は、営業やマーケティングでしばしば使われることが多く、「聞き手が第三者の事例や意見を聞くことで話し手の意図通りに行動する傾向がある」という特徴を使った心理学的なテクニックです。

例えば、転職エージェントを利用した採用の場合は、転職エージェントに協力を求めることもおすすめです。
転職エージェントは候補者の家族事情を詳しく把握していることもあり、「第三者」の目線で自社の就業メリットを説明してくれることがあります。

最後に

「嫁ブロック」による内定辞退は100%防げるわけではありませんが、できるかぎり関わる全員が気持ちよく意思決定できる体制を整えていきたいものですよね。
ぜひ今回紹介した対策を試してみてください。

様々な採用事例を経験することは、長い目で見れば人事としてのスキルアップにもつながります。
「嫁ブロック」に遭遇したらある意味「チャンス」と捉えて、試行錯誤する経験が人事としての器を大きくするかもしれませんね。

Mayo

新卒で介護系事業会社で広告の営業活動を経験した後、大手人材紹介会社に転職。キャリアアドバイザーとして20代~30代を対象とした転職支援に従事。副業でWEBラ...

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