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買い手市場へ転じた転職市場。経験者採用に苦戦する今、できることは?

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2020年コロナ禍を機に転職市場は売り手市場から買い手市場へ一転
未経験求人の採用枠を減らしたり、採用を中断する企業も出てきたりと、昨年とは様相が大きく変わりました。
一方で、引き続き採用活動を継続、「経験者採用」に注力する企業も。

コロナ禍で多くの人のキャリア観が変わり、異業種への転職を考える求職者が増加する中、企業はどのようにして即戦力や経験者を採用していけばいいのでしょうか?
「なかなか即戦力に出会えない」という人事の悩みを解決する手段について、考えていきたいと思います。

2020年、転職市場はどう変化した?

買い手市場への転換期、採用側・求職者側双方でどのような変化があったのでしょうか?

採用側の変化

求人数の大幅減少や採用基準の引き上げが見られています。また、界職種未経験の求人や若手向けのポテンシャル求人も激減しました。
そこには「即戦力性」を重視し、研修や育成にかける費用を削減したいという企業の背景も垣間見られます。

これまでは未経験でも面接で会って判断していた企業も、応募があった段階や書類選考時でもスキルが合致しなければ見送りの判断をするといった変化も見られています。

求職者側の変化

一方、求職者側では未経験でも異業種転職を希望する人は一定存在。
成長産業での就業を希望する声や、ITスキルを身につけ、時代に即した人材になりたいという声もよく耳にします。

特に、コロナ禍によりこれまで当たり前とされてきた、キャリアに対する価値観がガラッと変化。
企業に依存せず自律的にキャリア形成したいと考える人が増えたのもその背景の一つです。

実際に、転職サービスを展開する企業の調査によると、「新型コロナ拡大でキャリア観に変化があった」という回答は全体の6割近くにも上りました。

(参考)https://www.bizreach.co.jp/pressroom/pressrelease/2020/0430.html

特にその中でも9割以上が「企業に依存しないキャリア形成が必要」と回答しました。

経験者採用が難しい背景と解決策

未経験で異業種転職を検討する候補者が増加、一方で買い手市場により未経験枠を減らし即戦力や経験者を採用したい企業。
ある一定のギャップが発生する中で、経験者採用は難しくなっているのは事実です。

そもそも経験者採用が上手く行かない背景として、どのような課題があるのでしょうか?

採用ターゲットの打ち出し方に課題あり

一つ目は、採用ターゲットの打ち出し方に課題があるケース。
母集団形成に尽力するがあまり、具体的な人物像や求めるスキルを明記していないというケースはないでしょうか。

採用現場からは、「現場社員を採用したくても管理職クラスの転職希望者から応募があり、ミスマッチが発生する。」という声も。
早急に採用ターゲットの見直し・明記をする必要があります。

雇用形態は正社員じゃなくてもいい?

経験者採用を進める上で、雇用形態に縛りを設けていることはありませんか?
「経験者だから正社員でないといけない」「契約社員や業務委託では業務範囲が限られる」といった思い込みが、選択肢を狭めていることも。

働き方の多様化により、副業やフリーランスとして働く人材も増加。
正社員ではなく、むしろ正社員以外での雇用契約を望む人もいます。
であれば、採用要件を満たす人材を業務委託や派遣社員、契約社員といった雇用形態で雇うことも有効です。

雇用形態に柔軟性が生まれることで、採用手法も変化。
これまで求人媒体や転職エージェントのみに頼っていたという企業も、人材派遣会社・SNSでの直接募集、リファラル採用など一気に選択肢を増やすことができます
その分、間口が広がり経験者に出会える確率も高まるでしょう。

そもそも経験者採用でないといけないのか?

「そもそも経験者でないと活躍できないのか?」ということを改めて考えてみるのも手段のひとつ。
業界も職種も未経験となると、研修や育成にコストがかかり採算が合わないケースもあるかもしれませんが、同職種の経験者であれば、関わってきた業界を問わず一旦幅広く選考を行うのもおすすめです。

例えば営業経験者の場合、業界が異なれど、営業スタイルや求められるスキルは共通していることもあります。
「経験者」の範囲をどこまで狭めるか・広げるか、も再考してみるのが良いのかもしれません。

最後に

今回は、今後2~3年は続くとされる買い手市場で「経験者採用をどう進めていくか」について紹介しました。

転職希望者のニーズを把握しながら、採用手法の選択肢を広げたり、今一度、自社の求める採用要件を見直し、明確に打ち出していくことが優先的にできることではないかと思います。
また、「経験者」とひとくくりにしているものも、自社の経験者はどんなスキルがあれば務まるのか、因数分解・再定義し直し、それに即した人材を「未経験」でも採用していくことが、組織の活性化にもつながるかもしれませんね。

人事のジンジ編集部

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