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「社員のキャリア形成」は人事課題の一つ!若手と中高年、世代別の課題と対策とは?

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人生100年時代の到来、新型コロナウィルスの影響など、労働環境が大きく変化している今、企業にとって「社員のキャリア形成」を考えることは、今まで以上に重要だと言われています。

そんなキャリア形成において特に課題に上がることが多く重要視されているのが、若手と中高年。
というのも、若手社員は日常の仕事に追われ、キャリアの展望を考える余裕が無い場合が多く、中高年層は「キャリアの先が見えている」と感じモチベーションが上がらないケースが多いようです。

人事としては、それぞれの節目でキャリアを考える機会を設定し、各世代に合ったキャリア意識を持てるようにサポートすることが重要なのではないでしょうか。
今回は、若手と中高年の世代別のキャリア形成の課題と人事ができる対策をご紹介していきます。

世代別、キャリア形成の課題

社員のキャリア形成の課題は、世代によって異なります。
若手社員と中高年社員それぞれの世代が抱える課題を見ていきましょう。

若手社員

「日々の仕事に追われキャリアについて考える余裕がない」

若手社員は、会社から与えられた仕事や役割を全うし、周囲の信頼を得るために奮闘しています。
日々、舞い込んでくる仕事に追われ、ノルマや予算数字を追うことに必死。
自分の将来のありたい姿を具体的に思い描いたり、そのために必要なスキルや知識を調べたり、なかなかできていないのが現状のようです。

 

「キャリアについて考える具体的な方法がわからない」

「そもそも、キャリアデザインの仕方がわからない」というケースもあります。
このケースでは、背景に「自分が何をしたいのかわからないから、キャリアを考えられない」という課題が隠れている場合も。
実際に、私も同僚から「自分が何をやりたいかわからず、キャリアプランシートが書けなくて困った」という話を聞いたことがあります。

 

「入社3年目までに、今の仕事を続けていけるのか”不安”を感じる社員が多い」

また、若手社員のキャリア形成において課題にあがるのが若手の離職率です。
入社3年目までに3割の社員が離職するというデータもあります。

若手の同期や後輩が転職する姿を見ると、「自分はこのままでいいのか?」「この会社で仕事をするのが正解なのか?」といった焦りを感じる社員も多いと言います。
そのため企業側は、若手社員に対して「組織の中で成長することが自分のキャリアとどう関係しているのか」を、明確にして伝えていくことが重要です。

 

中高年社員

「年下上司や役職定年による、キャリアの停滞感とモチベーションの低下」

中高年社員のキャリア形成の課題として多くあがるのが、「キャリアの停滞感とモチベーションの低下」です。
そのようになってしまう原因で考えられるのは、年下社員が自分の上司になったり、部下が先に昇進したり。
また、役職定年により今までのポストから降ろされ、給与も下がる…ということがモチベーション低下に繋がるケースが多いようです。

社員側の気持ちとしては、今までの自分の会社への貢献や自分の仕事の経験などが、一旦否定されたような、そんな虚無感を感じてしまうでしょう。自分はいったい何に人生を捧げたんだろう、会社で出世もできず、無力だと。

このような気持ちを抱えた社員に、人事はどのようなサポートができるのでしょうか?
次に、キャリア形成の具体的な方法をご紹介していきます。

自律的なキャリア形成に向けた企業の取り組み

では、各世代に対して人事ができる具体的な対策は、どのようなものがあるのでしょう?

若手社員

●若手社員向けキャリデザイン研修の実施

若手社員向けに、キャリア形成の考え方や具体的なやり方を伝えるために、キャリアデザイン研修をすることが効果的のようです。
また、このような研修は、時間が無くて後回しにしてしまっている社員にとっても考えるきっかけになります。

研修内容は例えば下記のようなものがあります。

・キャリアデザインの方法 [自己理解を深める/目標設定/行動計画を立てる]
・自己分析 [Will(やりたいこと)、Can(できること)、Must(やるべきこと)の洗い出し]
・目標設定・計画立案 [10年後・5年後の自分を考え、目標設定と行動計画を立てる]

 

●上司とキャリア形成の方向性を話し合う場を設ける

若手社員のキャリア形成は、会社にとってとても重要なことです。
キャリアの目標や計画が明確になると、日々の業務のモチベーションアップに繋がり、個人の成長が結果的にチームや組織の成長に繋がります。

1年ごとのキャリア面談や1on1を実施し、若手社員に自分のキャリアを考えてもらう機会をつくり、定期的に目標と計画に対しての進捗を確認しましょう。
これは、若手社員にとって「上司から見てもらえている」という安心感や信頼にも繋がります。

このように自分のキャリアに向き合うことで、仮に他の若手社員が転職していった場合でも、焦ることなく自分のブレない軸を持ち、今のキャリアを自分で選択しているという納得感を持ちながら働けるのではないでしょか。

 

中高年社員

●中高年向けのキャリア再構築やライフプランに関する研修の実施

今まで、中高年向けのキャリア研修を積極的に行なっている企業は多くありませんでしたが、「企業の高齢化」に伴い、最近では中高年社員に活躍してもらえるよう研修などを実施する企業も増えてきました。

ある企業では、45歳以上の社員に対して5年ごとに研修を行なっているそうです。
内容は、これまでのキャリアの棚卸しや貯金や資産などマネー面も含めた今後のライフプランを考えるようなもの。
社員が今の自分の現状を「ワーク・ライフ・マネー」の面から把握し、現状を踏まえたうえで未来の計画が立てられるようサポートする研修が注目されています。

 

●キャリアアドバイザーからのキャリアの具体的な計画立案や行動支援のサポート

40代~50代の社員にとって、「キャリアの相談をする」というのは、ハードルが高いと感じる方もいるようです。
上司が自分の同期だったり年下の場合は、さらに相談しにくい…というのが正直なところだと思います。
そんな時に、専門のキャリアアドバイザー(キャリアコンサルタント)に相談できる仕組みがあると、ベテラン社員も胸の内を話しやすいのではないでしょうか。

実際に、キャリアアドバイザーとの面談を通して考え方が前向きになったという例も。
ある企業で、現場の第一線から外れモチベーションが下がっていた社員が、キャリアアドバイザーとの面談で「これまでのキャリアの棚卸と目標設定」をしました。
その結果、「ベテランで知識のある自分が専門性を生かして若手向けの勉強会を開く」ことを自ら計画し、前向きな行動に移せた…という例がありました。

こちらの事例からもわかるように、中高年の方の経験やスキル、そしてコニュニケーション能力、人間力はとても尊く価値あるものです。
だからこそ、今の自分が持っているもの(経験や資産)を一度、棚卸して自分を見つめ直すことが大切なのです。
その上で、「会社が求めていること・自分が提供できること」を整理して、キャリアの再構築をしていくことが、前向きなキャリアを歩むことに繋がるのではないでしょうか。

 

最後に

今回は、「社員のキャリア形成、人事としてどのようなサポートができるか?」を考えてきました。

キャリア形成の課題は、世代によって異なるため、その世代に合ったサポートが必要です。
若手社員の育成と中高年社員の活躍は、多くの会社にとって「100年時代の働き方」として重要なポイントになるはずです。

ぜひ、世代別のキャリア研修や面談・カウンセリングなど、取り入れやすいものから社内で検討してみてはいかがでしょうか?

Chihiro

人材会社にて6年間、【人材コーディネーター】として勤務。求職者と仕事のマッチングだけでなく、もっと一人一人に合ったキャリアサポートをしたいと考え、【国家資格...

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